完泳率 44%
2024年9月7日(土)、2019年以来5年ぶりとなる「湘南オープンウォータースイミング(湘南OWS) 10kmの部」が開催されました。
今年の完泳率は44%と低めで、半分以上の選手がDNFとなりました。
(元々完泳率が高い大会ではありませんが、例年半分以上は完泳していた気がします)
スタートした選手 | フィニッシュした選手 | DNFだった選手 | 完泳率 |
239名 | 105名 | 134名 | 44% |
なぜ完泳率が低かったのでしょうか?
手元のデータを元に考察してみたいと思います。(あくまで個人的な推測です)
ウェーブごとの完泳率
まず完泳率について、「ウェーブごと」に分割して見てみます。
第1ウェーブ、第2ウェーブの完泳率は80%以上と高い値ですが、第3ウェーブの完泳率は36%、最後にスタートした第4&9ウェーブの完泳率は10%とかなり低い値となっています。
ウェーブ | スタート時刻 | 性別 | START(名) | FINISH(名) | DNF(名) | 完泳率 |
1 | 9:00 | ー | 14 | 12 | 2 | 86% |
2 | 9:01 | ー | 74 | 59 | 15 | 80% |
3 | 9:02 | ー | 72 | 26 | 46 | 36% |
4&9 | 9:03 | ー | 79 | 8 | 71 | 10% |
全体 | ー | ー | 239 | 105 | 134 | 44% |
※男女別の完泳率も出してみましたが、こちらは大きな差はありませんでした。
ウェーブ | スタート時刻 | 性別 | START(名) | FINISH(名) | DNF(名) | 完泳率 |
1 | 9:00 | 男 | 11 | 9 | 2 | 82% |
1 | 9:00 | 女 | 3 | 3 | 0 | 100% |
2 | 9:01 | 男 | 67 | 52 | 15 | 78% |
2 | 9:01 | 女 | 7 | 7 | 0 | 100% |
3 | 9:02 | 男 | 56 | 20 | 36 | 36% |
3 | 9:02 | 女 | 16 | 6 | 10 | 38% |
4 | 9:03 | 男 | 67 | 8 | 59 | 12% |
4 | 9:03 | 女 | 10 | 0 | 10 | 0% |
9 | 9:03 | 男 | 2 | 0 | 2 | 0% |
全体 | ー | ー | 239 | 105 | 134 | 44% |
第3ウェーブ、第4&9ウェーブのDNFが特に多かった
第3ウェーブと第4&9ウェーブの多くの選手(全体の約半数)がDNFとなってしまったため、全体の完泳率が下がったと思われます。
今年はこれまでの一斉スタートではなく、ウェーブスタート方式が採用されました。どのウェーブに属するかは、おそらくエントリー時に申告した10kmの予想フィニッシュタイム(1500mのベストタイムだったかもしれません)を参考に決められたのだと思われます。
ちなみに、制限時間ぎりぎりの「3時間20分」と申告した私は第4ウェーブからのスタートでした。
私を含めて、とにかく完泳することが目的の選手が第4&9ウェーブには多かったと思われます。
参考までに私自身の泳力は、
・100m を 1分40秒サークルで50本なんとかまわせる (短水路)
・3000m を 短水路なら 47分30秒 (1分35秒/100mペース) で泳げる
・3000m を 海なら 52分30秒 (1分45秒/100mペース) で泳げる
くらいです。レース当日も、第4ウェーブは同じくらいの泳力の方が多かったように思えます。
第4ウェーブ視点で振り返る
さて、本題です。
先に書いた通り、私を含めた第4ウェーブでスタートした選手の多くは、各関門の制限時間に間に合わずDNFとなりました。
●各関門と制限時間
・1km地点 スタートから20分
・3km地点 スタートから60分
・5km地点 スタートから100分 (1時間40分)
・7km地点 スタートから140分 (2時間20分)
・フィニッシュ スタートから200分 (3時間20分)
私自身は3kmの関門に間に合いませんでした。
一緒に50~60名ほどが3隻の船に分けてピックアップされましたので、3km地点はおそらく一番多くのDNFが出た関門ではないでしょうか。
各関門を突破するには、「100mあたり2分」のペースをフィニッシュまで維持する必要があります。
ただ、10kmの部の選手は参加資格のひとつである「プールで100mあたり1分40秒(100秒)程度のペースを維持できる泳力」を満たしていることを前提とすると、海での「100mあたり2分(120秒)」ペースを維持することは相当ハードな海況でない限り難しくないと思います。
しかし今回、多くの選手が「100mあたり2分」ペースを維持できず、関門にひっかかってしまいました。
一体何が起きていたのでしょうか?
海が荒れていた?
海が荒れていたのでしょうか?
いいえ。
まったく逆でして、波も風もほとんどなく、水温は28℃前後で絶好のオープンウォータースイミング日和でした。
下記はレース当日にスタート地点(逗子海岸)から撮影した動画です。
沖にも波はなく、とても穏やかな海でした。スタート後も同様でした。
理想のコース取りと、自分の泳跡を照らし合わせてみる
では、一体何が原因で多くの選手が関門にひっかかったのでしょうか?
私の泳跡(GPSのログ)を元に考えてみます。
見づらい図で恐縮ですが、「理想のコース取り (緑と黄色の破線)」と「自分の泳跡 (赤実線)」を重ねてみました。我ながらひどいコース取りですが、今後のために目を背けずに向き合いたいと思います。
区間ごとに分けて見ていきます。
◆スタート~1km地点
スタート後、まずは500m地点にある緑の円柱ブイを目標にするつもりだったのですが、水面に浮かんでいる各選手のスイムブイ(着用義務)に遮られて、全然目視ができませんでした。(画像では500mブイを泳跡の右側に置いていますが、実際には左側だったかもしれません)
500mブイは見つけられないまま、ガーミンの距離が600mを越えたのを確認したので、次の目標となる Dブイを探すも、こちらも各選手のスイムブイに遮られて目視確認できませんでした。この辺りで第3ウェーブの選手に追いつき、再びバトルが激しくなってきたので、自力でDブイを探すのを諦め、しばらくは前の選手達のスイムブイを目標(というよりアテ)にして泳ぐことにしました。
1km地点まではほぼ理想通りのコース取りができていますが、集団で泳いでいたわりには 遅めのペース(1’55/100m)でしたので、逆潮だった可能性が考えられます。
◆1km地点~Aブイ
1km地点を通過後、理想のコースから大きく左に外れながら、Aブイに辿りついているのがわかります。
1km通過後も、先行する選手達についていきながら、進行方向に向かってヘッドアップしてDブイ、その先のAブイを探したのですがなかなか見つけられませんでした。全く違う方向を探していたのですから、見つけられないのは当然ですね。
この区間では多くの選手が私と同じ泳跡を辿り、遠回りをしたと思われます。前の選手につられたのもありますが、全体的に潮に流されていたのかもしれません。
◆Aブイ~Bブイ
Aブイを曲がった後、Bブイを見つけることができなかったので、先行する選手のスイムブイをアテに泳いだのですが、理想のコースから大きく右に外れながらBブイに辿り着いています。
この区間は 2’10前後/100m とかなり遅めのペースでした。
◆Bブイ~Cブイ
引き続き、先行する選手についていきました。
理想のコースから大きく外れながらCブイに辿り着いています。
この区間のペースは 1’45前後/100m で、前の区間(Aブイ~Bブイ)より速くなっていました。
◆Cブイ~Dブイ
今度は理想のコースから少し左に膨らんでいます。
この区間のペースは 1’45前後/100m で、前の区間(Bブイ~Cブイ)と同様、比較的速いペースでした。
◆Dブイ~3km関門の約100m手前
Dブイを通過した後、理想のコースから左にずれて進んでいることがわかります。
Dブイを回った時点でよく探せば 3km関門の大きなブイは見つけられたかもしれませんが、誘惑(先行する選手のブイを追いかけたほうが楽)に勝てず、大きくロストしてしまいました。
3km関門ブイまであと約100mというところで、ライフセーバーから「泳ぐのをやめてください」と声がかかり、レース終了となりました。
考察
泳速(ペース)や泳跡から考えると、レース当日は画像の右下方向に潮が流れていたと思われます。
そのため、ほとんどの区間が進行方向に対して逆潮になり、泳速が落ちたと思われます。
まとめると
私が関門に間に合わなかった原因は、大きく2つだと思います。
1.泳速が落ちていた (ほとんどが逆潮だった)
2.泳いだ距離が長かった (遠回りした)
特に2については今回の反省点だと考えています。
早々にA~Dブイを探すのを諦め、先行する選手達についていった結果、最短コースから大きく外れてしまいました。みんなが進んでいく方向が正しいと信じ、選手がつけているスイムブイばかりを探し、本来探すべきA~Dブイを探すのをさぼってしまいました。
次回の対策としては、逆潮に負けないよう基本的な泳力をあげるのはもちろんですが、A~Dブイをきちんと探して最短距離を泳ぐことを心がけたいと思います。
(前を泳ぐ選手達のスイムブイは本当に見やすいので、ついていきたい誘惑に打ち勝つ精神力が必要)
今回の完泳者 105名は本当にすごい
完泳者のタイムを例年と比較すると、今年はフィニッシュまでずっと逆潮が続いていたと思われます。
また、5kmすぎからは波も立ち始めたと聞きました。
このハードなコンディションの中、完泳された選手のみなさまには尊敬の念を抱きます。
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